こんにちは。今日はLT値というものを紹介したいと思います。
ベテランランナーにはお馴染みのフレーズですが、まだ経験の浅いランナーの方は、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。
しかし、有酸素系の競技をする全てのランナーにとって、実はとても重要な値なのです。
とても簡単に解説すると、「LT値が上がると、速いペースで長い時間走ることができる」ということ。
もう少し細かく書くとLT値というのは「乳酸が溜まり始めるポイント」です。LT値よりも速いペースで走ると、身体に乳酸という借金を作って長く走れない、というワケです。
もう少し細かく説明していきたいと思います。
LT値の解説
LT値とは、乳酸性作業閾値、もしくは、無酸素性作業閾値と呼ばれるものです。
最近の研究で明らかになったことなのですが、乳酸は疲労物質では無いというのが主力の見解です。
乳酸をガツガツと生み出すほどの体内運動が、疲労感の原因であることがわかってきました。
ですので「乳酸が溜まって疲れた」ではなく「乳酸が溜まるほど動いたから疲れた」ということが正しいです。
話が脱線してしまいましたが、LT値を超えた運動をすると呼吸が苦しくなってきます。これが身体に対して「借金をしている」状態です。借金は運動後にきっちり返済しないといけません。
LT値を上げると借金をするポイントも上昇していきます。(貯金が増えて、多少の支払いでは借金不要の状態になると例えておきます)速いペースで走っても、息が切れにくくなるのです。
LT値というものを上げたい!という方には、別にトレーニングのやり方を書きましたので参照してください。
http://www.choi-run.com/entry/0036
ここでは詳しい解説となぜLT値が重要なのかを解説していきたいと思います。
エネルギー変換による違い
まず、筋肉が収縮するためには「ATP」が必要になります。(ATPは、平易に言い換えると、カラダを動かすためのエネルギーです)
ATPを作り出す経路には、「リン酸系、解糖系、有酸素系」に分けることができます
この中で、リン酸系はほとんど長距離走には関係がありませんので省略します。(リン酸系は、短距離や瞬発系・パワー系に関連する経路です。)
有酸素系と解糖系のATP生成が長距離には重要になります。
多少の正確性を省いて説明すると・・・
有酸素系が「収入」で、解糖系が「借金」と考えるとわかりやすいかもしれません。
有酸素系が足りなくなると解糖系から借金をして、解糖系が尽きてしまうと、有酸素系分の動きしかできなくなってしまうということですね。
この有酸素系を目一杯使ったところが「LT値」となるわけです。
このLT値は明確な基準があるので、そこを圧倒的に超えるようなペースでは、走ることはできません。
解糖系の限界も上げることができるのですが、有酸素系の能力を上げたほうが効果が高いですし、限界は青天井ですので、LT値を上げたほうがパフォーマンスが良くなります。
ですのでLT値を上げることがランナーの中では推奨されています。
結局LT値を上げたらどんな効果があるの?
結論を言うと「これまでと同じペースで走っても、息が切れなく」なります。
これは有酸素系だけでエネルギーをまかなうことができるようになるからです。ただ、呼吸は楽になっても、それだけでマラソンが速くなるかといえばそうではありません。
重要なのは総合力です。42kmを走りきれる脚力や精神力なども必要となります。人によっては適性などもあるはずです。
ですが呼吸に余裕があることは「絶対的なプラス」になることは間違いありませんし、トレーニングをする上で正しいベクトルに進むためにも、LT値を底上げするトレーニングは有用となります。
長距離走者にとって、呼吸は命です。乳酸の溜まりにくい身体は必ずプラスの効果をもたらしてくれるでしょう。
LT値とは?向上によるメリットは?のまとめ
LT値、ATPなどの難しい単語が出てきましたが、理解できたでしょうか??
一見難しいけれど、普段トレーニングされている方であれば、実感としてわかる内容も多かったのではないでしょうか?
LT値はトラック競技でも参考にする数値です。特に、5000mや10000mではこのLT値が高ければ高いほうが速くなります。
普段の練習において、別ページ(http://www.choi-run.com/entry/0036)で書いたトレーニングを取り入れて、ここを読んでいただいたランナーの皆様の走力アップのサポートとなれば幸いです。頑張ってください。